【蜘蛛恐怖症 克服】有名精神科医が書いた蜘蛛恐怖症を克服しようとした女性の話が超参考になる[平気でうそをつく人たち]

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昔、「平気でうそをつく人たち」という心理学の本を読んだのですが、「蜘蛛恐怖症」にかかっている女性の話が面白かったので感想を書きます。

著者のM・スコット・ペック氏はもう亡くなられていますが、高名な精神科医で著書「愛と心理療法」は全世界でベストセラーとなっています。

「平気でうそをつく人たち」は、 人間が持つ「邪悪性」に対してメスを入れた本です。「邪悪性」を持っている人を「邪悪な人」と読んでいます。

「邪悪な人」とはどんな人か?端的に説明すると、見た目は普通ですが自分を優秀で完璧だと思い込んでいる人。

自分が不完全だと認めたくないがために、問題が起きると他人に責任転嫁し、攻撃的、支配的な行動を取ります。

「いい人」に見られることに異様にこだわるので外面はいいですが、中身は傲慢で悪魔のような人間です。

本記事ではこの「邪悪な人」について、そして邪悪な母親によって苦しめられ、蜘蛛恐怖症を患う17歳の娘ビリーについて書いていきたいと思います。

動画版もあるのでよろしかったらぜひ!↓

「平気でうそをつく人たち」ってどんな本?

「邪悪な人」とは?

著者が言う「邪悪な人間に」ついて、もう一度詳しく説明します。

  • 表面的にはごく普通の人
  • 自分は優秀で、欠点がない完璧な人間だと思い込んでいる
  • 問題が起こると全て他人のせいにする
  • イメージ、外見、外向けという言葉に執着する
  • 愛を装う

「邪悪な人」とは、現代的に言うと見た目は普通なんだけど話しているとなんだかモヤっとする人間、といったところでしょうか。

これらの特徴を持つ人間をペック氏は「邪悪性」と名付け、心理療法家として長年戦い続けました。

「平気でうそをつく人たち」の感想 良い評価

「平気でうそをつく人たち」の感想を、良い評価と悪い評価に分けてそれぞれ紹介します。

とても勉強になる。「周りからの評価が高そうなのに、何かがおかしい」なんて人が周りにいるなら読むと良い。
 
側にいてなんとなく釈然としない気持ちになったり、「なんか気持ち悪い」と感じさせる人達の邪悪性を明確にしてすっきりさせてくれる本。
 
ペック氏の愛に満ちた筆致に涙ぐむ。愛に満ちた洞察力によって普及の名著としての価値を有しているものだと思う。

「平気でうそをつく人たち」の悪い評価

キリスト教信者が書いたものだということに注意。絶対的な善、絶対的な悪、そういったものがあるのを前提としている。
 
タイトルと内容が乖離している。嘘吐き対策で買うと肩すかしを食らう。
 
後半の集団の悪について、特にベトナム戦争に関する論評は読み飛ばしても差し支えない。
 
古臭い。これから精神医学や進学を学ぼうという人にはオススメしない。

キリスト教的な書き方と後半部分の集団の悪についての論評は評価が悪いです。古臭い、時代がかっているという意見も。

しかし現代ほど精神医療が発達していなかった時代に、特定の人々が持つ「邪悪性」にいち早く気付き真摯に向き合い、様々な症例と体験を綴った本書は不朽の名作であると高く評価されています。

ペック氏の愛のある筆致、メッセージ性に元気付けられたいう読者も大勢いました。

精神医学の指南書というよりは、一人の心理療法家の自伝として読むのがオススメ。様々なレビューを通して見ると、評価は高いと思います。

「蜘蛛恐怖症」にかかった女性の話

それでは、本書のキーワードとなる「邪悪な人」の定義をふまえて、蜘蛛恐怖症を治療するために心理療法家を訪ねた女性の話をします。

長くなってしまったのですが、ご興味があれば読んでくださるとうれしいです。

※治療にあたったのはペック氏本人ではなく、ペック氏と親交のある精神科医になります。

不倫を繰り返す母親を慕う乱交癖のある娘ビリー

ビリーが学業成績不良が理由に、母親に心理療法家の元に連れてこられたのは16歳の頃です。

半年の治療で成績は向上しましたが、自分のお小遣いで治療を続けることにしました。

ビリーは同時に蜘蛛恐怖症を患っており、家の中で蜘蛛を見つけるとどんなに小さなものでも誰かが殺して片付けてくれるまで家に入ろうとしません。

ビリーの母親は夫がいるにも関わらず不倫を繰り返し、ビリーも母親に似て常に不特定多数の男性と乱行を繰り返していました。
2人はその秘密を共有し合い、その関係性を楽しんでいました。

ビリーの母親は「邪悪な人」だろうか?と疑問を持って読み進めると面白いと思います。ちなみに心理療法家は、母親を完全に邪悪とみなして治療にあたりました。

母親から離れて一人暮らしを始めるビリーに変化が起きる

心理療法家は母親からビリーを遠ざけるために一人暮らしを提案します。一人暮らしを始めてから、ビリーには3つの変化が起きました。

一つ目は、孤独に対する恐怖感がいかに強いものか理解できるようになったことです。最初はアパートで一人の夜を過ごすことに極度の不安を覚え、9時になると実家に帰ってしまうことの方が多かったそうです。

二つ目は、父親に対する印象が変わったことです。
ビリーも母親も父親とは不仲でしたが、一人暮らしをきっかけにその印象がガラリと変わりました。トラックを借りてきてくれて荷物の運搬を手伝い、引っ越し祝いとしてシャンパンを贈ってくれたのです。

ビリーは父親の優しさに気付き、とても感謝をします。それに比べて母親の方はビリーの引っ越しに反対で、一切手伝おうとしませんでした。

そして三つ目は、母親にとってビリーが自分から離れていくことが不満なのだと理解できるようになったことです。
引っ越しに反対しているのは自分を愛している証拠だと内心喜んでいましたが、ただ自分にしがみついているだけなのではと考え始めるようになりました。

母親は蜘蛛?「あの人、まるで怖い蜘蛛みたいだったわ」

治療を始めてから6年目、ビリーが詩を書き始めるようになりました。これはビリーにとって新しい驚くべき変化です。

ある夜、ビリーは詩を書きたくなったのでアパートに帰ろうとしますが、母親はビリーにしがみついて止めました。

以下はその時のビリーと心理療法家の会話です。

あの人、まるで怖い蜘蛛みたいだった

君がそう言うのを、私は長い間待っていたんだ

なんですって?

君のお母さんが蜘蛛みたいだってことだよ

それで?

君は蜘蛛が嫌いで、怖がっている

でも、母は嫌いじゃありません。それに、母を怖がってもいません

君は、お母さんを嫌っているはずだ

でも、そんなこと考えたこともありません

それで、そのかわりに蜘蛛を嫌いになって、蜘蛛を怖がっているんじゃないか

心理療法家は、恐怖症とは「置き換え」によって生じるものであると説明しました。

あるものに対する正常な恐怖感や反感が他の何かで置き換えられた時に、恐怖症が生じる。本当の恐怖や反感を自分で認めたくないときに、人はこうした防衛的な置き換えを行う。

ビリーの場合、自分の母親の邪悪性を認めたくありませんでした。母親は自分を愛しており、安心できる相手であり、優しくていい人だと信じたかったのです。

ビリーは母親の邪悪性に対して、本能的に抱いている恐怖や反感を蜘蛛に置き換えました。母親を恐れる代わりに、蜘蛛を恐れるようになったのです。

クモ恐怖症はだんだんと快方へ

その後の話は書かれていませんが、「この種の子供が、長期にわたる治療の結果、母親との共生関係から乳離れすることのできた例である」、「ビリーは今でも治療を続けているが、その終わりも見え始めている」と書いてあることから、治療は長期に渡った末に成功したと考えられます。(そう信じたいです)

恐怖症は自分が本当に恐れているものの置き換えだ、という説明は面白いのでスルスルと読み進めることができます。

自分は蜘蛛恐怖症だ、あるいは何かの恐怖症だと悩んでいる方には良書だと思います。

話を端折ってしまった部分が多いので、ぜひこちらからチェックしてみて下さい↓

まとめ

「平気でうそをつく人たち」の概要と、蜘蛛恐怖症について書かれた章を簡単に紹介しました。

ペック氏の言う邪悪な人とは、見た目は普通だけど自分を優秀で完璧だと思い込んでいる人。

自分が不完全だと認めたくないがために、問題が起きると他人に責任転嫁し、攻撃的、支配的な行動を取る人。

「いい人」に見られることに異様にこだわるので外面はいいですが、中身は傲慢で悪魔のような人たちのことです。

そして本記事では蜘蛛恐怖症について書かれた章をピックアップしました。

蜘蛛恐怖症を患うビリーとその母親の歪んだ関係。恐怖症とは「置き換え」によって生じるものである、とビリーの治療にあった心理療法家は説明します。

ビリーの母親は親としてあるまじき行動をし続け娘を苦しめていましたが、ビリーはこれを認めたくありませんでした。

ビリーは母親を恐れる代わりに、蜘蛛を恐れるようになったのです。

個人的に、恐怖は置き換えによって発生するという話は今まで聞いたことがなかったので、かなり興味深かったです。

自分が何かの恐怖症にかかっている場合、本当に自分が恐れているのは何か?認めたくないものは何か?この本を読めばそれが何か教えてくれるような気がしました。

プロフィール詳細はこちら。https://yukamaeda.com/sonohoka/profile/

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