【人を襲うクマ 遭遇事例】を読んだ感想

最近「人を襲うクマ 遭遇事例」という本を読みました。著者はアウトドア系のライター羽根田治さん。

私はヒグマが多い北海道に住んでいるので、この本のタイトルと表紙に興味を持って読んでみました。

この本の簡単な概要

福岡大学ワンダーフォーゲル同好会のヒグマ襲撃事故を筆頭に、7つの事故が語られます。福岡ワンゲル部以外の6つの事故は2009年〜2016年と新しい事例。被害者の証言・専門家の解説を加えて詳細に描かれています。

どのエピソードが一番強烈?感想から見る遭遇事例

人を襲うクマ 遭遇事例」について色んな方の感想を調べました。一番よくレビューされているのはどのエピソードか、そしてなぜ強く印象を持たせたのか書いてみたいと思います。

福岡大学ワンダーフォーゲル同好会の事件

事故が起こったのは1970年ですが、今でも語り継がれている有名な話です。3人の大学生が北海道日高山脈でヒグマに襲撃されて死亡しました。

本書で一番最初に取り上げられるだけあって、感想も数多く存在します。どの箇所が読者に強い印象を与えたかというと、やはり被害者が死の直前まで書いたと思われる手記でしょう。

7:00 沢を下ることにする。にぎりめしをつくって、テントの中にあった、シャツやクツ下をかりる。テントを出て見ると、5m上に、やはりクマがいた。とても出られないので、このままテントにいる。

しかし、・・・・・・(判読不能)・・・・・・を通らない。他のメンバーは、もう下山したのか。鳥取大WVは連絡してくれたのか。いつ助けに来るのか。すべて、不安で恐ろしい。

またガスが濃くなって・・・・・・(判読不能)

手記と並んで注目されているのが、ヒグマへの対策・知識不足です。

下山すべきタイミングで下山しなかったことから、クマへの対策が甘かったのではないか?と当時非難されることがあったようです。

今でこそネットで簡単に、過去に起きた獣害事例・対策などを調べることは出来ますが、当時はそれほど環境が整っていませんでした。クマへの対策不足は時代のせいと言っていいでしょう。

防御方法「頭部と首を腕でガードして地面に伏せる」

本書で紹介されている防御方法は、とてもタメになったという意見が本当にたくさんありました。

その防御方法を含め羽根田さんがオススメするクマ対処法を、少し簡略化してまとめます。

①クマに遭わないための準備をする
事前に自分の向かうルート周辺でのクマ出没情報を集める、鈴やラジオなど鳴り物を持つ。(鳴り物は万全ではないので注意)

②クマが残した痕跡を見つけたらその場から引き返す
クマの糞、木の枝の折り跡、樹皮に付けられた爪痕など。
特に、枯れ葉や土がかけられたシカなどの動物遺体を見つけた場合は決して近づいてはならない。

③持ち歩いている食べ物の匂いに気を付ける
匂いの出ないプラスチックバッグに保管する、テント内で調理しないなど。

そしてここからがクマと遭遇してしまった時の対処法です。

④クマを刺激しないよう相対したまま、後方にゆっくり下がる

よく見る対処法ですね。本書でも取り上げられています。
次はクマが突進してきた場合。

⑤頭部と首を腕でガードして地面に伏せる

手を首の後ろで組んで頸部を守り、その両肘で顔の側面をカバーして、地面に腹ばいになる

クマの防御的攻撃はあまり長い時間続かないので、その短い時間を急所を守りながら耐えます。(防御的攻撃については後述)

この防御姿勢を取る必要がある時は、クマの攻撃が本気の時です。
クマの突進は威嚇(ブラフ)である場合があり、目前まで迫った後にきびすを返したり、急に方向転換して逃げたりすることがあるようです。

しかし威嚇なのか本気なのか見極めは難しいそう。

⑥唐辛子スプレーで撃退
もし唐辛子スプレーを持っているなら上記の「⑤頭部と首を腕でガードして地面に伏せる」より先に試します。

クマを十分に引きつけた上で、口、鼻、目などの粘膜にめがけて噴射します。使用については事前の練習が必要。

⑦最悪、戦う
過去の事例では、鉈などの武器を持ってクマを退散させたことがあるようです。その他、素手で殴ったり投げ飛ばしたりなど。

しかしクマは顔を優先的に狙って攻撃してくるため、相対して戦うことの危険はかなり大きいようです。

以上、「人を襲うクマ 遭遇事例」で書かれているクマ対処法でした。

クマの「防衛的行動」

「防御的行動」とは、クマが自分自身を守るための攻撃です。

基本的には人を避ける動物である。食肉類に分類されるとはいえ、他の動物を襲って捕食することはない。人を襲う理由も、九九パーセント以上はクマが自分自身の安全を確保するための防御的行動である。

「熊まじで怖い」

純粋にクマへの恐怖を綴る感想も多かったです。

2009年に起きた畳平駐車場襲撃事故では、クマに襲われている女性を助けようとした男性が攻撃を食らい視力を失いました。

「その一撃で右目がポロッと落っこっちゃって、上の歯もなくなりました」

恐ろしいことにパンチを食らっただけで、眼球が飛び出て失明してしまったのです。

本書ではクマに攻撃された時(多くは防衛的攻撃)、どの部位がどのような致命傷を受けたのか詳しく描写されています。

反撃したがボクサー並みの俊敏さでかわされた、引っかかれだだけで耳が2/3欠損、頭蓋骨が剥き出す・・・など。背筋が凍りますね。

襲われて対抗した人々が結構たくましい

2016年、秋田県鹿角市でクマによる連続襲撃事故が起こりました。山菜取りに山に分け入った人々がクマに襲われ、4人が死亡、4人が重軽症、5人が応戦して撃退しました。

5人の内の2人がどのように撃退したか詳細に書かれてあります。

一人は78歳の女性。タケノコを取るために入山しましたが背後から近づいたクマに臀部を噛まれます。女性はとっさにクマの頭部をキックして逃げたそうです。

もう一人は同じくタケノコと取りに入山した男性。運悪くクマと遭遇し死を覚悟するも、カッターナイフで笹を切って即席の竹槍で撃退しました。

特に後者の男性のお話は、臨場感に溢れていてまるで小説を読んでいるような気分にさせられました。

この本を読んだら気軽に山菜採りやタケノコ採りのために入山しようとは思わないはずです・・・。

羽根田さんの描写がとてもリアル

まるで現場にいるかのような気分にさせられる、という感想をちらほら見かけました。

羽根田さんのペンは実にリアル。まるで現場を俯瞰しているかのようで、恐怖がじわっと来る

アウトドア系の題材ではかなり有名なライターさんのようです。

個人的に一番印象に残った話

個人的に一番強烈な印象を残したのは2009年の畳平駐車場襲撃事故です。パンチ食らって眼球が飛び出して失明した男性のお話です。

この男性・・・石井さん(仮名)のお話はまだ続きがあります。

致命傷を負いながらもなんとか一命を取り留めた石井さん。しかしこの後大きく人生が変わってしまいました。

この事故のせいで片目を失い、残った方の視力も徐々に落ちていっているそうです。左腕と左足も不自由になり、山に登れなくなってしまいました。
事故当時一緒にいた友人達は、負い目を感じて会いに来なくなりました。
そして今でも残念に思っていることは、助けようとした女性から何も言ってこなかったこと。

年々視力が悪くなっていること、一言でいいから「ありがとう」と言ってもらいたかった、という言葉は、読んでいてこちらもやるせない思いで一杯になりました。

まとめ

アウトドア系ジャンルで著名なライターである羽根田治さん「人を襲うクマ 遭遇事例」の感想を書きました。

日本国内で起きた重大な6つのクマ被害が、被害者の証言・専門家の解説を加えて詳細に語られます。

読者の関心が寄せられたは、やはり福岡大学ワンダーフォーゲル同好会の事件です。次点、防御方法「頭部と首を腕でガードして地面に伏せる」に触れている人も多かったですね。

今回は紹介しなかったのですが、地元漁師のインタビューはとても読む価値があると思います。漁師さんの含蓄ある言葉を引用して感想を書いている方も多く見かけました。

「人間だってクマを殺すんだから、クマが人間殺したってしょうがないわな」
「働き口のある場所、お金が稼げるところにみんなが集中する。動物たちも同じなんだよ」

クマに会ったらどうする?会わないためにはどうする?と聞かれたら、後退りする・クマ避けの鈴を持ち歩く、くらいの知識の人は読んでおいた方がいいかもしれません。

餌を求めてクマが住宅街を歩くような時代なので、必ず役に立つと思います。

kindle unlimitedで無料で読めます。

maedayuka

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